尾木直樹氏(法政大学キャリアデザイン学部教授)
2011年03月16日

尾木 直樹

法政大学キャリアデザイン学部教授、臨床教育研究所「虹」所長、
“尾木ママ”の愛称でTV等でも活躍中

 

 

 

グローバルな視点で生きよう


熊本時習館に集う高校生のみなさん。今、日本は沈没しかけています。
 国際社会では、?知識基盤社会?成熟した市民社会・リスク・格差社会・多文化共生社会、が到来したとの認識の下に国づくりと教育体制を整備しています。ですから、世界のほとんどの国が大学まで含めて段階的にでも授業料を無償化し、むしろ給付型の奨学金の充実や生活費支援までして学びを応援している国まであるほどです。しかも、ヨーロッパでは大学入試などはほとんど実施していません。つまり、高校卒業認定資格を持っていれば、基本的にどこの大学ででも学んでいける学力・資格があるものとみなしているのです。ということは、高校卒業までに小学校1年生段階から一人ひとりに合致したカリキュラムを組み、とことん学力保障を応援しているのです。日本のように、分数ができなくても小学校を卒業し、うっかりすれば大学生にまでなってしまうといった「年齢主義」はとっていません。一人ひとりにふさわしい学力を、責任を持って身につけさせているのです。つまり、学力における人権の保障・確立を意味しているのです。生きるための学ぶ学力の獲得、セーフティーネット、ある意味では人生前半期の社会保障でもあるのです。国にとっては、世界と平和的に共存していくためのライフライン(生命線)ともいえるのです。
 ガラパゴス化した日本の学力論、教育論を突き破ってグローバルな視点で私たちの未来を見すえないと、“島国日本丸”は沈没のスピードを増すばかりです。
 立ち上がった時習館のような個を主体としたネットワークこそ、今後の高校生や若者に希望をもたらす道筋だと確信しています。どうか、日本の先頭を切って、新しい学びの場を豊かに育てていってください。そして、世界にはばたいてほしいと思います。